「寡婦」と「特別の寡婦」の違いと「寡婦控除」~年末調整や確定申告

年末調整
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2020年分の年末調整・確定申告から「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」の控除が改正され、「ひとり親控除」「寡婦控除」となりました。

「ひとり親控除」「寡婦控除」とは~2020年分年末調整・確定申告から未婚シングルマザーも控除対象に!

これにより今まで婚姻歴のあるシングルマザーだけが対象だった「寡婦」「特別の寡婦」の控除が、「ひとり親控除」の新設で未婚のシングルマザー・シングルファザーも控除を受けられるようになりました。

 

「税金」「所得」に関係しますのでシングルマザー、シングルファザー必読です!

「税額」や「所得」は児童扶養手当のもらえる金額やいろんな資格確認にも関係してきますので記入漏れの無いようにしてくださいね!

◇◆◇◆◇

以下の記事は、令和元年(2019年)までの年末調整や確定申告の際に母子家庭に特に関係がある寡婦・特別の寡婦、寡婦控除について説明します。

(2019年2月15日加筆)(2019年6月10日修正) (2020年11月16日加筆)

会社勤めで給与をもらっている人は、11月頃に会社から年末調整のために

  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
  • 「給与所得者の保険料控除申告書」
  • 「配偶者控除等申告書」(2018年の年末調整より新設)
    が渡されます。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には母子家庭のために寡婦特別の寡婦の記入欄があります。

控除・控除額とは何か?についてはこちらをどうぞ

それでは『寡婦』『特別の寡婦』の違いと、『寡婦控除』について説明します。

注)既婚・結婚・再婚とは婚姻(入籍)をしたことをいいます。

 

寡婦と特別の寡婦

一般的に寡婦とは婚姻後に「夫が亡くなったり」「夫と離婚」して、その後再婚をしなかった妻です。

税法上の寡婦とは

税法上の寡婦は納税者本人(妻)が、原則としてその年の12月31日の時点で、次のどれかに当てはまる人です。

パターンA
結婚後に
 1.離婚して、再婚していない人
 2.死別して、再婚していない人
 3.夫の生死が不明な人

1~3の中のどれかに当てはまり、「自分の収入で養っている親族」や「生計が一緒の子」がいる人
※「生計が一緒の子」とは年間所得が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。

     又は

パターンB
結婚後に
 1.死別して再婚をしていない人
 2.夫の生死が不明な人

1,2のどちらかで、年間所得が500万円以下の場合(子などの扶養親族がいなくてもOK)

つまり、パターンAかパターンBのどちらかにあてはまれば寡婦となります。

 

※「夫と死別」「夫が生死不明」の場合と「夫と離婚」では、子が扶養から外れた場合の扱いが違います。

○「夫と死別後」又は「夫が生死不明」
 ・・子が扶養から外れた⇒寡婦のまま
           (パターンB)
○「夫と離婚」
 ・・子が扶養から外れた
        ⇒寡婦ではなくなる

なので、離婚後再婚していないが、子供が成人して就職して扶養から外れたなど(扶養親族がいない人)は寡婦に当てはまりません。

 

特別の寡婦とは

寡婦のなかでも下の1~3全てに当てはまる人が特別の寡婦になります。

結婚後

  1. 離婚か死別して再婚をしていない人、又は夫の生死が不明な人で、
  2. 自分の収入で養っている子(=扶養親族である子)がいて、
  3. さらに年間所得が500万円以下、

の場合です。

なので、扶養する子供がいる寡婦で、年間所得500万円以下であれば特別の寡婦になります。

 

寡夫とは

寡夫とは、納税者本人(シングルファザー)が、原則としてその年の12月31日時点で、次のすべての要件に当てはまる人のことです。

控除できる金額は27万円です。

「妻」とは民法上の婚姻関係のことです。

  • 合計所得金額が500万円以下であること。
  • 妻と死別し、もしくは離婚後婚姻をしていないこと、又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
  • 生計を一にする子がいること。
    この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、ほかの人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

寡夫には「特別の寡夫」はありません。

 

未婚のシングルマザーは寡婦?

「寡婦」の前提条件は「夫がいた」ことです。

「夫」とは、民法上の婚姻関係のことです。
つまり婚姻届を出していたか、ということです。

既婚(婚姻届提出済)のシングルマザーは寡婦となりますが、未婚(未届け)のシングルマザーは寡婦にはなりません。

なので未婚のシングルマザーは、寡婦控除・特別の寡婦の控除を受けられないことになります。
その結果、子供の父と婚姻届を出していたシングルマザー(寡婦)に比べて、同じ収入でも所得が多くなり税金が高くなります。

所得額が多くなることにより、児童扶養手当などの各種手当や給付金が寡婦に比べて少なくなるなどの差が出てしまいます。
しかし救済措置があり、寡婦と同条件で手当・給付金を受けられることもあります。
未婚のシングルマザーの『みなし寡婦控除』~未婚の母必見!

 

既婚歴ありの未婚のシングルマザーは?

既婚歴があれば未婚の母でも「寡婦」「特別の寡婦」の控除が適用されます。

つまり、Aさんと結婚(入籍)して離婚、その後Bさんとの間に子供が出来たが入籍せずに未婚シングルマザーになった場合、寡婦・特別の寡婦となるんです。

一度入籍・離婚しているからなんだそうです。
法律って不思議です。

 

寡婦控除とは

寡婦控除とは、既婚の母子家庭の母が寡婦に当たる場合に受けられる所得控除のことです。
控除」は税金の対象にならない金額を収入から引くことなのです。

控除を受けることで所得が減り、「所得税」「住民税」などの税額が少なくなります。

簡単に表すと、
・収入-控除=所得(額)
・所得額×税率=税金の額
なので、控除の金額が多いほど所得(額)が少なくなるので、税金が少なくなります。

 

控除の中に寡婦控除または特別の寡婦控除が入ります。
所得税の場合の控除は、
・寡婦控除は27万円
・特別の寡婦控除は35万円(寡婦控除27万円+8万円)

控除の金額が増えるとその分税金が少なくなります。

 

寡婦控除・特別の寡婦控除と税金の関係はこちら

 

もし、【年末調整】の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で寡婦・特別の寡婦の申告を忘れても大丈夫!
【確定申告】で追加申告すれば良いのです。

自営業などで年末調整のない方は確定申告で忘れないように申告して下さいね!

 

※参考記事
『給与所得』と『給与収入』の違いと『年収』と『手取り』


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